2010年2月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2270ページ
■観光 (ハヤカワepiブック・プラネット)
読了日:02月25日 著者:ラッタウット・ラープチャルーンサップ
http://book.akahoshitakuya.com/b/415208796X
■エル・スール
常に「あなた」である父への語りかける物語。少女アドリアナの息づかいが聞こえてきそうなくらい、静謐で清潔な孤独の物語だった。最初の異性である父に対して抱いているのが、親愛と畏怖の絡み合った独特の感情なので、起こらなかった近親相姦や殉死の匂いも漂っている。アドリアナが行き着いたスールは、夢のように美しい所だったのだろう。いずれ映画も観てみたい。
読了日:02月22日 著者:アデライダ ガルシア=モラレス
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/5094264
■「少女神」第9号
クールでキュートでファニー!こんな少女小説はアメリカでないと出てこないだろう。セックスやジェンダー、ドラッグ、ロックなどなど、日本のよいお父様お母様たちから見たら眉をひそめられてしまうだろうから。ただこの短編集の少女たちは、そこそこ裕福な家庭の子供たちだ。だからこそ持てあましている「ほてり」のような物があるのだろう。文字はレインボーグラデーション。いつか消えてしまう美しい若い時代、大人への架け橋としての虹の色を現したのだろうか。
読了日:02月19日 著者:フランチェスカ・リア ブロック
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/5030869
■くらやみの速さはどれくらい (海外SFノヴェルズ)
読了日:02月14日 著者:エリザベス ムーン
http://book.akahoshitakuya.com/b/4152086033
■ナイトメア―心の迷路の物語
読了日:02月07日 著者:小倉 千加子
http://book.akahoshitakuya.com/b/4000241613
■家のロマンス
読了日:02月07日 著者:加藤 幸子
http://book.akahoshitakuya.com/b/4103452080
■オール・マイ・ラヴィング
中学生の頃の、身体の中で不機嫌さとぼおっとした熱気で火照ってもてあまし気味になる、あの時の気分を思い出す。ビートルズ全盛期に思春期を過ごした著者の自伝風長編なのだが、ビートルズの面々が顔を出しているわけではない。中学生だからこそ気持ちだけが先走って言葉がついてこない、あの妙な焦りや大人ぶった中に残っている幼さ、またその逆のものがつんつん金平糖のとげみたいに飛び出している。ああ、これは青春小説なんだ。
読了日:02月06日 著者:岩瀬 成子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/4838970
■レベッカ
読了日:02月01日 著者:ダフネ・デュ・モーリア
http://book.akahoshitakuya.com/b/4105055313
▼読書メーター
http://book.akahoshitakuya.com/
2010年1月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3283ページ
■サレンダー
案外子どもは丈夫なのだが、それは子どもが世界から落下しないためであって、芯から丈夫なわけではない。アンウェルの孤独、疎外感には思い当たるものがある。囲い込むような孤独はアンウェルを、埋葬布のように包んでいった。誰もが見ていながら知らぬふりをしている内に。アンウェルには悪意がない。それがなお読者に悲しみややりきれなさ、残酷さを突きつけてくるように思う。YAの枠に収まらないハートネットには圧倒されてばかりだ。
読了日:01月30日 著者:ソーニャ ハートネット
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/4735701
■灰色の魂
読了日:01月28日 著者:フィリップ・クローデル
http://book.akahoshitakuya.com/b/4622071142
■新潮クレストブックス初夜 (新潮クレスト・ブックス)
ユーモラスなのに、それだけでは終わらない。最後まで緊張感の続く物語だった。「初夜」に至までのまだるっこさを、若夫婦のあらゆる(現在或いは過去からの)視点がフィナーレまで続く。初夜というのは当事者でなければ、ロマンティックと言うよりグロテスクなのだろうが、読み進むうちに悲しみとおかしみ、二人への愛おしさが募る物語だった。
読了日:01月24日 著者:イアン・マキューアン
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/4644097
■抱擁
侯爵(こうこうはくしだん、のこう)のお屋敷で小間使いとして雇われた年若い「わたし」。最後にある短い一言は!全ては「そこ」に向かうためだった、とはいえ…すごく、淋しくなる終わりだった。
読了日:01月21日 著者:辻原 登
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/4597790
■薔薇密室
飛び抜けて美しいものも一種の畸形だと聞いた。強い光の下にはより濃い影が出来るようなものだと。ある一人の男が創った完結していない物語の本が、あちらやこちらに出現し、登場人物を惑わす。薔薇の溢れる僧院、窓のない部屋、ナチスドイツなどは舞台としても演出のための道具としても、この倒錯的な、隔離された世界の中で綴られる物語の、増幅装置になっていると思う。
読了日:01月18日 著者:皆川 博子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/4561387
■真鶴
失ったものは二度とは失えない、と思っていた。でも再び失うこともあるのだった。川上さん独特の読点の打ち方、擬態語はよくわからないが浮遊感がある。浮遊感というか、足もとの床が柔らかくなってしまうような、不穏な気持ちがする。柔らかな赤ん坊が成長して内側から硬くなる、という記述がとても好きだ。
読了日:01月14日 著者:川上 弘美
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/4496684
■一期一会・さくらの花 (講談社文芸文庫)
傍観者のように淡々としていて、肉親の死もファンであった俳優の死も、何事もあるがままに受け入れている。悲しみさえも取り込んでしまって、その文章は感傷を洗い張りした着物のよう。文章に立ち上るような色気があることもなく、またその物語が波瀾万丈ドラマチックなものでもない。けれど、それなのに読まずに過ごすのは惜しい気になる。作家自身の視点がとても落ち着いていて、どんな場面でも俳優ぶることもないからだろうか。
読了日:01月10日 著者:網野 菊
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/4437709
■七姫幻想
『戻り川心中』を再読したくなった。後ろ盾なくしては、ただ一本の糸のようなか弱いおんなの物語をミステリーに仕立て上げている。上品で風雅な雰囲気の和歌を用いておんなの情念や時代に振り回されるほかなかった寄る辺の無さなどが描かれていたように思う。全て読み終わると連作とはいえ、どれもかなり濃くリンクしているようだ。不勉強な部分が自分に多く、作品を作者の思惑通り丸ごと堪能したとは言えないかも知れないけれど。最後の五行にどきりとした。
読了日:01月08日 著者:森谷 明子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/4411627
■カサンドラの城
読了日:01月07日 著者:ドディー スミス
http://book.akahoshitakuya.com/b/4931284930
■完全版 最後のユニコーン
読了日:01月02日 著者:ピーター・S. ビーグル
http://book.akahoshitakuya.com/b/4054037747
2010年3月20日土曜日
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滅びの王国
『すえっこOちゃん』という本を借りた。Oちゃんのほんとうの名前はオフェリアだけど、いつもOちゃんと呼ばれている。スウェーデンのある町に住んでいる七人きょうだいの末っ子で今は五歳。年上のきょうだいがいるのでおませさんだそう。奔放ではちゃめちゃだけれど、OちゃんにはOちゃんの理屈がし...
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東京優駿(とうきょうゆうしゅん)とは日本中央競馬会(JRA)が東京競馬場の芝2400mで施行する競馬の重賞競走である。 一般的にはレース名の副称である日本ダービーの名で広く知られており、現在の日本の競馬においてその代名詞とも言える競走である。「競馬の祭典」という呼称もマスコミ...
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『真鶴』(川上弘美 文藝春秋)を読んだ。読むかどうか迷って、結局は読んだ。このひとの本を読むと、自分がうすく剥がれ落ちていくような気がして、不穏な気持ちになる。嵐の直前のような、波の高い海を見ているような、そういう気持ち。波立つ冬の冷たい海を覗いている気持ちもに近い、...
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