2017年10月16日月曜日

旅に出ない日

 あまりにも身体が重く、(これは肉が鉛になったようだ)と思っていたら寝坊した。身体が季節に追いつかないし、ついでに時間にも追いつかず遅刻をした。遅刻をしようと決めたら気が楽になって、のんびりパンなどを齧ったのだが、家を出る時間が近づいてくるととてつもなく辛い。まるで誰かの首に縄をかけるような、喩えるのもおぞましいような気持ちになってしまい、結局鉛のような肉体を引きずって出社した。

 

 週に五日くらいは八時間ずつ働くのだけれど、すごく時間の無駄をしているようで、事務所にいるといらいらする。いらいらするのでiPhoneでネットを彷徨う。リンクからリンクへ。ツイートから別のツイートへ。でもそのどれも、気が重くなるだけで本当はしたくないと思っている。今日は本が届いているはずだから、早く帰りたい。もちろん何も届かなくても早く帰りたい。

 雨がしばらく続いていて気温が下がった。朝夕に吐く息がほんのりと白い。山からは靄が立ちのぼり、空は明るい灰色、これはこの地方特有の現象だろう。ほっとする。寒い方がいくらかはましだ。特に雪が降ってくれれば勇気がわく。なぜならその雪をかき分けて進めばいいからだ。今年は雪が早く降ってほしい。

 果たして注文した古本は届いていたがまだ一頁も開いていない。本当はこんな時間まで、本も読まずに起きていたくないし、そっとしておかれたい。もちろんそうされてもいるのだが、まったく、足らないのだ。もっと深くそっとしておかれたい、わたしはもっと深く潜っていきたいと常に思う。泳いでいる時間はやや深く潜っていられるのだけれど、帰宅を急かされているような気も同時にする。この、時間には間に合っているのにまるきり遅刻しているような、焦りでもうずっとへとへとだ。

 もうずっとウェブでの日記を書いていないので、とりとめもないのだけれど、これはこのままにしておこうと思う。

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