まったく、いやらしい事です。人に頼りたい、と思います。くるしいから助けて欲しいと思う時も。そのやり方は今でも分らない為に、人を突き放したくなります。既に、突き放しています。関わりたくないという防御は最大の暴力でしょうね。
でも、「今、ここ」にいる以上、言葉以外には頼るものがありません。伝えるにも、言葉でしか出来ない、いや言葉になら出来る、というように。言葉を持たない者は言葉に復讐される……復讐されるのが怖いのではなく、言葉を持たない者になるのが怖いのです。
淋しくはありません、私は言葉を持たない者になるくらいなら、いっそ、死を選びたい。そのくらいには物語も、本も、言葉によって生命を与えられた者を信じたいと思います。残念な事にしがらみのある身では、死は選べませんから、精神的な、僅かの期間の死でしょうけれど。
愛する兄弟姉妹の皆様、どうか言葉をお捨てにならず、いつまでも美しく尖り続ける水晶として育んでいて下さい。そして“めでたし、めでたし”であなたの物語を締めくくって下さい。私は私の物語を書き続けていくことにします。私が言葉を持って真珠の門を通るまでは。
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