2018年3月19日月曜日

飛ぶのがこわい

雲間からいく筋もあたたかな光が注がれ、春の海はとうとう透明になってしまった。春が近づいたら、背中が破けて羽でも生えてきそうな気持ちにならない?わたしはいまその気持ちを嫌という程味わっている。肩甲骨と肩の間のひとつづき、その辺りがむずむずしていて不快だし憂鬱な気持ちがもう何日も続いている。地上三センチくらいで常に浮いていたい(そして雪の上に足跡を残さずに歩いていきたい)と願っているけれど、飛ぶのは絶対に嫌、飛ぶのはこわい。飛べば落ちる。今年もどうか飛ばずに地上にとどまっていなくてはと思う。でもそのための確かな舫い綱は、今のところ見つかってはいないのだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

その花をつままくときは とことはにすぎさりにけり

子供の頃、多分まだ年齢が一桁だったころ、れんげ畑でイベントがある(そう大それたものではないと思うが、田舎には娯楽がない。子供の頃は、嘘みたいに続くらしい人生に退屈していたし、それはわたしの顔に常に出ていた)とどこからか聞いてきた母が、家族で出かけようと計画をした。心踊る計画ではな...