2010年7月10日土曜日

6月の読書メーターまとめ

 2010年6月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2126ページ

■おんな作家読本 明治生まれ篇
明治生まれの「おんな」の作家を取り上げた、うわさ話みたいに密やかに、慎ましやかな一冊。写真が少ないのが惜しい。かのじょ達の「お気に入り」や「遺品」などの写真もあり、そのそれぞれが大変にかあいらしい。一人の少女であり女であり、作家だったかのじょ達の日常を覗き見しているようで、楽しい。いつも本棚に置いて、「次は誰を読もう」と期待に胸を膨らませるためのチュウインガムになりそうだ。続刊も期待。
読了日:06月26日 著者:市川 慎子
おんな作家読本 明治生まれ篇


■柘榴のスープ
遠くアイルランドの地で「バビロン・カフェ」を始めたイラン人の三姉妹。混じり合う野菜や肉、ハーブの香りを想像しながら読んだ。時折無機物を擬人化させているところなどの表現が存外心地いい。耳をすませばとろとろと鍋の下でゆれる火の音やサモワールから注がれる湯が上げる蒸気の音まで聞こえてきそうだ。アイルランドの小さな田舎町ではさぞかしエキゾチックに映ったであろう三人が次第に食べ物を介しながら人々に迎え入れられる所はとても好き。イランでの三姉妹にまつわる過去は忌まわしいものもあったが清々しい物語だった。
読了日:06月21日 著者:マーシャ メヘラーン
柘榴のスープ


■クローディアの秘密・ほんとうはひとつの話 (カニグズバーグ作品集 1)
再(……)読。初めて読んだのは大学生の頃。「クローディアの秘密」もそうだが1960年代に出版されていただなんて、子どもだった人たち(そして子ども時代にそれらに触れた人たち)何と羨ましいことだろう!ミステリー仕掛けがある所もやはり良いし少女の成長譚と読める所も良い。「ほんとうはひとつの話」こちらは短編が四本。どれも子どもが成長しても持ち続ける秘密についての物語だ。
読了日:06月18日 著者:E.L. カニグズバーグ
クローディアの秘密・ほんとうはひとつの話 (カニグズバーグ作品集 1)


■東京島
人間が持つ嫌な部分をオーバーに引き出すのがとにかく上手い桐野夏生。現実の社会の中での物語だと彼女の特有の筆致で閉塞感がつきまとうのだが、逆に舞台が無人島であるせいでより開放的でもあった。なりふり構わず「生」に執着してつかみ取る(無人島で蜥蜴や蛇を捕まえるような)姿は、むき出しの人間のどん欲さが誇張してあるようでコミカルでもあった。
読了日:06月15日 著者:桐野 夏生
東京島

■街の座標
読了日:06月14日 著者:清水 博子
街の座標


■夜と灯りと (新潮クレスト・ブックス)
この乾いた寂寥感はなんなのだろう。そして物語の底辺を流れる虚しさは。ガリガリと身体を削られるようだ。登場人物たちの多くは乱暴で自堕落だけれど、それでもその傍にいつも、小さくても灯りがあってくればいい。自分の姿を見失わないように。
読了日:06月05日 著者:クレメンス マイヤー
夜と灯りと (新潮クレスト・ブックス)

■プレーンソング (中公文庫)
再……読。「特に何か目立った出来事が起こらない日常」が淡々と描かれているところが特別に好きだ。それとちょこちょこと出てくる競馬についても。競馬好きは大きなレースで季節を知る。体内時計のようなもので、それを主人公がちょくちょく目安にしているところなど。まるで流れている川のような、いつから始まっていつ終わっているかも川にとってはどちらでもいいように、穏やかに陽にきらめく水面を見て一日をすごすような物語だと思う。日々は、日々でありそれ以上のものではないのだな。
読了日:06月02日 著者:保坂 和志
プレーンソング (中公文庫)


■薔薇忌 (集英社文庫)
読了日:06月02日 著者:皆川 博子
薔薇忌 (集英社文庫)
薔薇忌の装丁はピンク地に緑色の花の絵なので持っているだけで気分が良い。

▼読書メーター
http://book.akahoshitakuya.com/

本のタイトルはアマゾンに飛びます。

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