2017年9月22日金曜日

(北風と一緒にいれば寒くなんかないのよ)

太陽は雲と靄の向こうで光っていて、山からは靄が立ち上っている。白くて明るい、冷たい朝にわたしも起きる。窓の外には五線譜の音符に似た電線のつばめ、運転席から横目で見えるかさかさに乾いて風に巻き上げられる枯葉、これらは皆秋だ。冬ほどぶ厚くないぽってりとした雲、その向こうに光があるのがよく分かる。薄明るい季節が始まった。この辺りは冬になると晴れる事がほとんどない。もったりと厚くて重い綿のような、ホワイト多めのグレイッシュな雲で空が覆われていくのだ。秋とは、雨と雪に降り籠められている、白い季節の前触れ。

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