たくさんの人が通り過ぎていってしまった。死んでしまった人もいるし、もうどこにいるのかも分からない人もいる。
どこにいるか分からないのは私にとってのみのことであって、私が思い出す対象であるその人たちは、無事に楽しく日々を過ごしているのだろう。その人たちにとって、私がその人たちを思い出すのと同じように私を思い出すことはあるかも知れないし、ないかも知れない。多分、ないだろう。
思い出されることもなくなってしまったら、私はその時、いなくなってしまう。過去知り合った時すら消されてしまう。だから、私が覚えているしかない。私の過去を消さないために、私が私を覚えているしかない。
また一人通り過ぎていった。そのひとを私は所有したはずはない。なのに何故、失ったように思うのだろう。何故悲しく思うのだろう。まるで、まとわりついていた亡霊を消してしまったようだ。人は、人を手に入れられない。当たり前のことなのに、私は忘れていた。だからだろうか?ちっとも涙が出なかった。一粒も。
涙を失った私はまた、その人たちにとっていない人になる。
2009年12月27日日曜日
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