古いログを読んでいた。昔の方がもう少し無邪気ではしゃいでいて(少々はそれを装って無理をしていたのかもしれないが)、臆せず人と文字の会話をしていたようだ。自身のログしか残っていないので、何の話なのか、そのアカウントの持ち主が今どうしているのか、ぼんやりとしかわからない。
最初のアカウントを作った頃のこと。今も同じアカウントで続けている人もいるだろうし、わたし以上に繰り返しアカウントを変えてどこかにいるかもしれない。もっと狭い範囲のSNSにいるのかもしれない。でもあの時間には確かに「いた」。
わたしは当時一歳くらいの女の子の母親だった。そして眠れない夜を過ごしていたから──彼らもまた同じ時間にたまにタイムラインで「すれ違った」。残ったのはそれだけ。わたしはどんどん内向きになってアカウントを何回か消しては短い期間で別のアカウントを作ったから、その度ごとに追いかける事が出来なくなった。
だんだんネット上の文字だけではなく仕事に出るようになって現実の人びとに向き合わないとならなくなり、夜は眠るようになった。「すれ違った」人と二度と会えないとはあまり思っていなかった。彼らは森の妖精でもないのに、そこにいきさえすれば必ずいると決まったものでもないのに、そうは思わなかった。
そういう「すれ違い」をずっと、ここで(初めた頃からはずいぶん時が流れているのに、同じ場所にとどまることは誰にも出来ないのに、とても無邪気に出来ると思っていた)、している。
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